VMC取得にあたっては、表示するロゴの商標登録が必要であり、ロゴの商標登録から開始が必要な場合、取得に時間を有するという課題がありました。さらに、登録した商標登録は有効期間があり、有効期間が過ぎた後に更新をしないケースもあります。さらには、商標登録されているロゴの形状がMUAに表示する際に適切な形状でない場合も存在しており、ロゴを加工したいという要望が存在していました。
これら課題を解決するために、CMC(Common Mark Certificates:コモンマーク証明書)が定義され利用可能になっており、DigiCert社(2025年6月時点)で取得可能となっています。
CMCの種類としては、"Prior Use Mark Certificates(先使用マーク)"と"Modified Registered Trademark Certificates(修正登録商標)"があります。
Prior Use Mark Certificatesは、VMCのRegistered Markと異なり、ロゴの商標登録が不要となっていることから、取得のハードルが若干低くなっています。しかしながら、どのようなロゴでも登録できるわけではなく、登録するロゴは、申請者が1年以上利用しているロゴが登録可能な条件で、登録にあたっては、そのロゴを先行利用していることを証明する必要があります。
Prior Use Mark Certificatesのユースケースとしては、BIMI対応する際に、表示したいロゴが商標登録されていない場合が考えられます。前述の通り、先行利用していることが証明できれば、Prior Use Mark Certificatesとして登録可能となるので、BIMI導入の障壁が下がることが想定されます。
また、BIMI導入時は商標登録していた自社ロゴを使っていたが、CMCが所得可能になったのちに商標登録していないサービスのロゴに切り替える場合も考えられます。利用者の一部は、該当サービスを提供している企業を認識していないこともあるので、サービスのロゴに切り替えることで、認知度が高まることが期待できます。
Modified Registered Trademark Certificatesは、“Modified”という単語から判るように、商標登録したロゴを加工して登録することになります。ただし、どのように加工してもよいわけではなく、商標登録されているロゴから49%以上データを削除することは不可となっています。
Modified Registered Trademark Certificates利用のユースケースとしては、商標登録しているロゴをMUAに表示する際にバランスが悪い、ロゴにサービス名を記載したい場合などに利用されることが多いと考えられます。
一例として、商標登録してたロゴに、商標登録しているロゴの形が横長などで、メールアプリ上に表示した際に目立たない場合に、ロゴの一部を整形するなどして見やすくする場合が考えられます。
なお、CMC利用の場合、まだ対応しているサービスが制限される場合があるため、利用にあたっては、送信する対象のメールサービスにおいて対応しているかなど、リスクを踏まえて利用する必要がありますが、徐々に対応しているサービスが増えており、利用のリスクはかなり低くなってきています。